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「こんな山奥で何をなさっていたの?」
大きな瞳をキラキラとさせ彼女は僕に訪ねた。
まさか“本当” の事など言えやしない。
「…よく覚えていないんだ。」
決して嘘ではない。
なぜなら僕は“再生”と共にそれまでの記憶が奪われる。
自分の正体以外は全て…
「まぁ。それは大変。」
彼女は顎に人差し指を当て考える振りをすると
「家へいらっしゃいな。温かい紅茶をいれて差し上げるわ。」
ニッコリとほほ笑み、返事を待たず僕の手を引いた。
願ってもいない。
こんな幸運が舞い込んでくるとは…
ついでに腹ごしらえもさせていただこうか。
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