雪 -ユキ-

6/11
前へ
/11ページ
次へ
「雪が解ける頃にエリカは天使になるの。」 そう言って微笑む。 ふーん。 死ぬんだ。 僕にとってはどっちでも構わないんだけど。 「ユキはなぜこんな山奥に来たの?…あ、分からないのよね。」 エリカは紅茶を入れながら独り言のように呟いた。 「…殺されて埋められた。」 「え?」 「だけどね…雪が降ると生き返るんだ。」 僕の話にエリカは目を丸くする。 「怖い?」 僕の問いかけに首を横に振る。 「いいえ、ちっとも。とても素敵だと思うわ。」 そう言って微笑んだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加