賞金首の少女

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「ーーあなたの事を下僕にしようと思ったから」  ああ、俺はこの美少女の下僕にーーっん? 「げ、下僕?」 「そう、下僕。あれ、下僕より奴隷って言ってほしかった?」 「意味わからんわっ!」  笑みを浮かべながら訳わからん事を言い出すこの少女は、頭が逝っちゃってるんじゃないか? 「なんで俺がアンタの下僕にならなきゃいけないんだよ!」 「だってさ、私って世界中から狙われてるじゃない? だから色々と不便するんだよね。大きな街には入る事すら出来ないし……」  地位も名誉も限度額のない賞金すらも掛けられた少女。  それは世界中の金目当ての賞金稼ぎだけじゃない、貴族や騎士、一部の一般市民ですら彼女を捕まえようと躍起になっている。 「だからさ、君がいればカモフラージュになるし、いろいろ便利だしさ」   「んな大剣持ってるだけでカモフラージュも何もないと思うけどな」  部屋の隅に立てかけてある物を横目に聞こえないように呟いた。  大剣ーー剣と呼ぶには多少の抵抗を感じる程に異質な剣がそこには立てかけてあった。  突くための機能が必要のないのか刀身には切っ先がなく、まるで厚い鉄板のように長方形の鉄の塊に柄が付いているだけの鍔が極めて短い武器。  それは昔、犯罪人の首を切り落とす“斬首刀”と呼ばれる剣に酷似していた。
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