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その少女の容姿は誰もが見惚れてしまうような、あまりにもその場にはふさわしくない美しい少女であった。
少女の小さな唇が僅かに微笑む。
(なんて可愛い……い、いや、何考えてるんだっ、俺は!)
不純な考えを振り払うかのように、頭を大きく左右に振ると青年は少女に厳しい眼を向け、剣の柄を持ち直す。
ゆっくりと間合いを詰めていく青年。
その青年を静かな瞳で見つめる少女。
青年は一気に間合いを詰めるべく、大地を蹴りあげた─────
「賞金首、レイン! お前をーー」
「きゃっ! 怖い……」
レインと呼ばれた少女の可愛らしい声。
と、その仔犬のように震える仕草に反応して、青年は自らの決意を込めて振り上げた腕と脚を緩めてしまう。
これが男の性というやつだろう。
「ぷぷっ……残念でした~」
(し、しまったぁぁぁぁ!)
レインはその背負った大剣を軽がると抜くと大きく振りかぶり、剣の鉄板のような側面で中途半端な勢いで近づく青年をーー
─────打ち抜いた。
「ぐひゃぁぁぁぁぁ……」
哀れ青年は同じ過ちを二度繰り返し、遥か彼方へと吹き飛ばされていったのであった……
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