孤独の淵で

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 冷たい風が、中庭の木の枝を揺らす。  私は、ブレザーの前を合わせ、しっかりとボタンをはめた。  少しばかりのぬくもり。  私は、どうやら、まだ生きているらしい。  これから、どうすればいいんだろう。  母とは、なんでも相談できる関係だった。  どんなときでも、安心して甘えられる人だった。  けれど、今は・・・。  あれを訊いておけばよかった。  この話もしておけばよかった。  思い出すことはたくさんある。  しておけばよかったとつらくなることも。    私は、ひとりぼっちだった。
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