電話の向こう側

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 ケータイを、ほっぺに押し当てる。  ひんやりとする感触。  プ・プ・プ・・・。  発信音が、近くで聞こえた。  しばらく待っていると、  遠くのほうで、コール音。  なかなか、出てくれない。  私は、だんだん怖くなってきてしまった。  あきらめようか。  切ってしまおうか。  だけど、母の言葉を信じるしか、道はないようにも思えた。  目をぎゅっとつぶっていると、  遠くで、電話に出る気配。  その人は、息を吸い込むと、 「・・・Hello?」  と、怪訝そうにいった。
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