突然の知らせ

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 学校のお昼休みは、一番のリラックスタイムだ。  私、エリカは友達のカナとだべりながら、怠惰な時間を過ごしていた。 「ねえねえ、この前のKeiのプロデュースした曲、聴いた?」 「えっ、まだリリース発表前じゃなかった? どこで聴けるの?」 「ここここ」  カナのスマホに、私は釘付けになる。  彼女のお父さんはレコード会社の偉い人なので、こういうサプライズがときどきあるのだ。 「聴いてみ?」  カナがイヤホンの片方を差し出す。  私はカナの顔に広がる優越感が気になったが、新曲をいち早く聴ける誘惑には勝てない。 「エリカさん!」  イヤホンを右耳に押し込んだ瞬間、ドアが勢いよく開けられ、担任の先生が血相を変えた顔で私を呼んだ。 「大変よ、お母さまが!」 
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