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「酷く混んでますねえ」
びくっとして我に返る。
タクシーの運転手さんが、ハンカチで額の汗を拭っていた。
「普通、ここ五分くらいで抜けられるのになあ」
タクシーは、すっかり渋滞に巻き込まれていた。
お母さんに・・・。
お母さんに、早く、会いたい。
「ちょっと、裏道行ってみますか」
了解を求めるように、運転手さんはミラー越しに私を見た。
「・・・お願いします」
声になっているかどうか、わからない。
それでも、私は、必死だった。
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