突然の知らせ

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「シートベルト、締めててくださいよぉっ」  運転手さんはひとこというと、わき道に入っていった。  きついくらいの加速。  最近カナたちと乗ったジェットコースターを思い出す。  あのときは、あんなに愉快だったのに。  そう思うと、思い出もとても苦い。  けれど、私は運転手さんに微かに感謝した。   こちらの事情は、一切訊いてこない態度が、張り詰めた心に優しく感じたからだ。  全然知らない裏道を使って、数分後には病院に到着することができた。
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