幕末

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「さて、この着物と刀は桜が?」 足元に置いてある布に包まれた着物と刀。 着物は男物の着流しの様なもので刀は細く軽い漆黒の刀と純白の刀。 それらを手に取りながら肩に乗る桜に問う。 『そうじゃ。その刀は妖刀の様なものだが危険なことは何もない。琉生にしか扱えぬ刀じゃ』 妙に手にしっくりくる刀を隅々まで眺めながら桜に言われた言葉を頷きながら聞く。 「有難う御座います。着物着てみますね。」 刀を丁寧に布の上に置き着物を手に取るとするりと衣服を脱いでいく琉生に桜は苦笑しながら肩から降りた。 相変わらず恥を知らないと思うも此処は林の奥まったところで人の気配もなくましてや一緒に居るのは狐でしかも中身は女。 恥ずかしがるのも可笑しいのだろうとまたも苦笑した桜。 そんな彼女に気付いた琉生は不思議そうに桜を見たが『風邪をひいてしまう』と言われれば着替えを再開した。 「桜、あの」 着替えながらふと琉生は桜に問いかける。 『なんじゃ?』 寝そべっていた桜は頭をもたげるようにして琉生の方を見た。 「其の喋り方が本当の桜何ですか?」 『・・・そうでもない』 「え、そうなんです?」 思わず着替える手を止めた琉生だが桜に早く着替えろと言うように促されると手を動かし始めるも「では何故其の話し方を?」と話を再開させる。
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