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『琉生、起きるのじゃ』
頭の中に直接響くような声に、琉生の意識が戻る。
ぼんやりと目を開けた先に予想していた影は無く、ぼやぼやと緑と青の何かが揺れているだけだった。
「さく、ら・・・?」
『此処じゃ』
いつもの桜の声が頭に直接響く。
まだぼやける視界をゆっくりと横に向けたとき、琉生の意識は完全に覚醒する事となる。
「ーーーっ!?さく・・・っ」
思わず勢いよく体を起こすがいきなりの動きに着いて行けなかった身体はぐらりとよろめいた。
『いきなり起き上がるでない馬鹿者』
「すみません・・・」
小さく息を吸い込みもう一度ソレをみた琉生は驚きに目を見開き、だがそれも一瞬のうちで小さく、何ともいえないような顔をして微笑む。
「桜、なんですね」
『そうじゃ・・・』
変わらず頭に響く鈴のような桜の声。
いつもと喋り方が違う桜だが、予想はしていたその姿の答えに小さく息を吐いた。
琉生の大好きな、桜の声。
それに変わりはないから。
桜が何者であろうとも、琉生の友人である桜に変わりはない。
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