幕末

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地面に座っている琉生の手にすり寄る【ソレ】は雪のように白く、月のように綺麗な金の瞳を持つ、狐だった。 そして、九つの尾がゆらゆらと揺れる。 『妾の家は稲荷の神社でな、妾は千年以上を生きる九尾の妖狐じゃ』 「でも、桜は人間の姿で・・・学校に・・・」 『妾に出来ぬことはない』 悲しそうに、だけども自信たっぷりに言う桜。 あの朗らかで明るい桜の姿は無いけれど、その声も、雰囲気も全てが桜のものだった。 「妙に物知りなくせに、世間には疎いと思っていましたが・・・そう言う事ですか」 ふっと気の抜けたように微笑んだ琉生に桜は悲しそうに眉を下げた。 『すまぬ、汝を騙すような形になった』 「構いませんよ。桜は私の大切な友人ということに変わりはありません。桜にとって、私は違いますか?」 『何を言う!妾にとっても琉生は、最初で最後の友じゃ。』 「最初で最後の、ですか?」 嬉しそうに笑う琉生を見て桜も小さく微笑んで肯定した。
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