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しんちゃん、泣いてるの? ねえ、泣かないで。
「でも、ホントにお馬鹿なのは……オラだ。」
しんちゃんなかないで。
「オラっ……シロがこんなになってるの、気付かなくて…!!
ずっと、一緒にいたのに…親友だって……思ってたのに、なのに!!!」
なかないで、もういいから。
「シロっ…………。」
しんちゃんが泣いている。僕はなにもできない。
せめて元気なところを見せようと思って、僕はしんちゃんのほっぺたをなめた。
しんちゃんのほっぺたは、少しだけ早い春の味。
僕がメスだったら、しんちゃんのために子供を作っただろう。
僕が居なくなっても、寂しくないように。
僕がわたあめだったら、しんちゃんのためにせいいっぱい甘くなっただろう。
僕が食べられても、甘さが少しでも長く口にのこるように。
僕が人間の手を持っていたら、しんちゃんを抱きしめただろう。
僕がしんちゃんにもらった、温もりを返すために。
僕が人間の言葉をしゃべれたら。
きっと、いっぱいいっぱいのありがとうとだいすきを、君に。
ひっきりなしにこぼれるナミダをなめながら、僕はあることに気が付いた。
僕はここを、今しんちゃんがすわりこんでいるここを、知っている。
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