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ここは、僕と君が初めて会ったところ。
僕と君との、始まりの場所。
僕は待っていた。
あきらめながらも、いつか。
いつか、おっこちたわたあめでも。
おいしいそうだって言ってくれる人が。
ひろいあげて、ぱんぱんってして。
まだ食べられるぞって、言ってくれる人が、来てくれるって。
「シロ。」
名前をよばれて、僕は顔を上げる。しんちゃんが、笑っていた。
まだまだナミダでいっぱいの顔で、それでも笑っていた。
「シロ、くすぐったいぞ。
そんなにオラの涙ばっか舐めてたら、しょっぱい綿飴になるぞ。
しょっぱいシロなんて、美味しそうじゃないから。
だからシロ、オラ、待ってるから。
今度はオラが待ってるから。」
しんちゃん。
「だから、もう一度、美味しそうな綿飴になって。
そんでもって、戻ってくるんだぞ。」
だいすき。
ぼくはしんちゃんに抱きしめられながら、さいごの夢を見る。
もういちど、わたあめになる夢を。
もういちど、おさとうになって、とかされて。
くるくるまわって、あまい、あまいわたあめになる。
目ざめたときに、だれよりも、
君がおいしそうだって言ってくれるわたあめになるために。
ふわふわのわたあめ。さくらいろの、あったかなわたあめ。
君が大好きだっていうキモチをこめた、君だけのわたあめ。
僕はシロ、しんちゃんのしんゆう。十三年前に拾われた、一匹の犬。
まっ白な僕は、ふわふわのわたあめみたいだと言われて。
おいしそうだから、抱きしめられた。
僕はシロ、しんちゃんのしんゆう。
今度はさくらいろの、ふわふわのわたあめになって。
君に、会いに行くよ。
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