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生徒会の仕事をやっていると規定時間に帰れないのなんて当たり前。それは生徒会に入る前、当時の会長竹中昴から話やら説明やらを聞いて知っていたはずなのに、「俺に君が上を向いて歩けるようサポートさせてくれ。」なんて頭湯下げてくるから、その熱意に圧されて引き受けたのは自分の意思なだけに何も言えない。
「うちの話聞いとる?」
トンッ
前を向くと愛美とぶつかった後で、
「え、あぁ……」
俺はまた気づかないうちに下を向いて
歩いていたらしい。
「ほんまか?」
俺の顔を覗き混む愛美は、
「な、なんだよ……」
気がすむと俺が持っていた書類を奪い、自分のと一緒に頼斗の書類に重ね、
「先帰っとくわ」
「僕達も届けたらすぐ戻ります」
「悪いけど頼むわ」
俺の手を握った。
「見てみて!!!!!
桜、もうすぐ咲きそうだよ」
回りの事など、気にする筈もない蘭は窓から外を見てはしゃいでいた。
「ほんまや、綺麗に咲きそうやね」
窓から見下ろすだけでも分かるほどにピンクに色づく木々。
「皆で花見にでも行きたいですね」
もう少しで花開き誇らしく咲き乱れる。
「えぇな、頼斗が作った弁当持って、」
「おやつやジュースも沢山持って、」
「「秘密基地復活!!!!!」」
「畏まりました、その様に致します。
ですから皆さんも御褒美の為に頑張って
参りましょう」
「「はーい」」
愛美達はどんな時にも胸を張り、真っ直ぐ空に向かい咲き誇っている。そんな皆と一緒に居る俺は、同じように花開く時は来るのかな?
「ほな、皆の衆、きばって行くで!!」
その答えを出す、暖かい日よりの春は
もうすぐそこまで来ている。
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