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そして一週間後。
ピッピッピッ…ピッピッピッピッピッ……
ガチャン
「朝か」
布団から手だけを出し、勉強机の上においてあった目覚ましを止めた。目が覚める寸前まで何処かで緊迫し空気に包まれている夢を見たような気がするけど、思いだそうにも思い出せない……。
「誰に何を伝えなきゃいけなかったんだっけ……?」
大事な話をしていたような気もするけど、それだけにしてはやたらと身体が重く感じて起きづらい。それでも何とかゆっくりとしたペースでベッドに座った。
シャンッ
ベッド横、出窓から差し込む光は腹立つほど眩しく、徹夜明けの俺にはまさしく凶器そのもの。
「ふぁーぁっ」
机には置かれた夜なべをしてまで書いていた文面を見てあくびをひとつ。眠すぎる時に書いただけに内容を覚えられていない。
「やばいな……」
書類を手にしたまま部屋を出て共有の洗面所で顔や歯を磨き、制服に着替えて鞄を手に寮を出た。
チュンチュン バサバサバサッ
桜の並木道を歩きながら、自分が書いたはずの文面を頭に叩き込む。
タッタッタッタッ
軽やかなリズムに自然と身体が邪魔にならぬよう道端に避けようする。
「よけんなや!!」
タンッ
「へっ?」
ドンッ
声に気づいた時には既にかろやかな放物線を描いた。
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