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未来における分岐点において、 人は選択をする。 それがどんな結果であれ、 受け止めて生きていくしかない。 後悔は先に立たずと言われるように、 自らが選んだ答えにより絶望し 闇を見ることもあるだろう。 さて、それがもし夢の中で やり直せるとしたなら 貴方はどうするだろうか。 大人になれば帰りたい過去があり、 悔やむことも多いはず。 ならば子供の時はどうだっただろうか。 また来る明日を恨み、 生きていくことから逃げ失せ、 泣く日々を送る人だっている。 皆が光に満ち溢れ、 未来に希望を抱き、 夢に向かって突き進む。 そんな人ばかりではない。 少なくとも私は明日が来ることを恐れ、 日か昇ることを恨んでいた……。 何故、あの日あの時、 彼に本当の事を言わなかったのだろう。 ただ一言助けてと言えたなら、 もっと違う人生があったのに……。 何故、あの日あの時、 彼女に手を差し伸べなかったのだろう。 もし私だけでも彼女の話を聞き、 一緒に居てあげたなら、 大事な友を無くさなくて良かったのに。 何故……、 何故……? 何故……。 当時の私はこう思っていた。 生きていく上で大事なのは愛と金だと、 そして大好きだった友を失えど 新しい出会いを大事にさえすれば 失った者の事など忘れられると……。 しかし、 現実はそんなに甘くはなかった。 どうしても忘れられないのだ、 最後に彼に残した言葉を、 彼女についた嘘を。 そしてそれは今でも付きまとい、 どんなに満たされるはずの毎日にでも 足元にもつれる闇への糸。 人間は死に直面すると懺悔をするのだ。 そして一言、 ゛ごめんなさいが言いたかった。゛と。 もう今更そんな願いは届かぬと 知っておきながら、 人は願い続けてしまうのだ。
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