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「それで、挨拶は書けたんか?」
「か、書けたよ……」
「ちょっと見せてみ」
無言で書類を渡すとペラペラッと捲り俺の方に差し出した。
「もういいのか?」
「かまへんよ?ただ、これ去年の会長の言葉と変わってへんやん。しかも無駄に長いし。これやと年子で入学された親御さんからクレームくるかもしれへん。学校ついたら書き直すけん、それで覚えなせぇ」
す、すげぇ速読術。俺も勉強したらできるだろうか。
「聞いとんやろか?」
「勿論」
「ほな行こうか」
先を歩く愛美、その後ろでじゃれながら4人で登校。俺はふっと立ち止まり彼女達の後ろ姿を見送る。
「何やってんの?置いていくで?」
立ち止まった俺に気づいた愛美が声をかけてくる。
「あぁ、今行く」
俺は駆け出した。時には厳しく、時には優しく、時は背を押してくれる彼等と共に過ごせる時間はどのぐらい残っているのだろう。大人達からすれば、まだまだ餓鬼かもしれないけど、両親の手から離れた俺らは、この場所で一緒に笑い合いながら着実に大人への階段を上っていく。どんな試練が待っていたとしてもこのメンバーならきっと大丈夫だ。
「ほな、会長とうちは生徒会室、蘭と頼斗は体育館の最終チェック頼むな」
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