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校門をくぐり分かれ道で立ち止まって簡単な打ち合わせをしてから生徒会室に向かった。入学式で生徒会会長が挨拶したところで、誰が聞くのだろうか。なんて思いながら書き直してくれている愛美の姿を横目に紅茶などを煎れてみたりして……。
「出来たで!!」
ペンを置き時計をみる。
「うわぁ、遅なってしもた。堪忍な、あと30分やけど、できるだけ短くしたけんはよ覚え」
「分かった、ありがとう。これ、アールグレイな」
愛美専用、緑色のジノリのティーカップを机に置いた。
「おおきに、あっ、そうや。時間になったら呼んでくれへん?少し寝たいねん」
「分かった、ゆっくりしときな」
「ありがとな、お言葉に甘えてそうさせてもらうわ」
紅茶に何度か口をつけ、机にうつ伏せになると規則正しい寝息が聞こえてくる。寝てると天使なんだけどな……。
俺は上着を愛美に被せ、少し離れたソファーに座り珈琲片手に黙読を開始した。
゛ご入学おめでとうございます。゛
その言葉を見て思わず苦笑を浮かべる。見ず知らずの人に「おめでとう」なんて言われて嬉しいと感じる奴がいるのだろうか。
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