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体育館横にある生徒会専用の控え室。
仮眠ベッドに愛美を寝かせて上着を羽織った。
「寝てないらしいから式が始まる10分前に起こしてやって、打ち合わせは俺が行くから」
「分かりました、お気をつけて」
「サンキュー」
当日、個人の役割と段取りを話していただけに愛美の分の仕事をこなしながら校長から言い渡された変更や来賓への挨拶もこなし、時間内に体育館に戻ってくる事ができた。
「俺も寝てないんだけどな……」
ため息混じりの愚痴をこぼしながら特別席についた。直前の変更なんて毎年の事、より良い入学式の為にはかかせない会長としての仕事。分かっているからこそ目がだんだん覚める訳で、体育館から音楽が消える頃入学式が始まった。
「続きまして、生徒会会長瀧沢修平より、挨拶があります」
愛美の進行で執り行われていきついに、俺の最大の見せ場。短い返事のあと、来賓や先生方に一礼しゆっくり壇上へ向かった。
マイクの前で一礼をすると、心にもない拍手が響き渡り、一歩前に出てマイクスタンドの調節を済ませてから誰を見る訳でもなく一番後ろの非常口の標識を見ながら口を開いた。
「皆様、数多くある中学校の中から我が校を選んでいただきありがとうございました。
私(ワタクシ)、桜北学園中等部の運営を任せていただいております、生徒会会長瀧沢修平と申します」
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