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そんな俺も中等部3年に進級し、生徒会会長の役職を表す《王》と言う肩書きを手に入れ、皇帝にまた一歩近づいた。
いまだに嫌がらせはあるものの、蹴散らすだけの知識と力、鍛練による必殺技を習得し、それなりに強くなったものの愛美は俺よりも更に強く逞しくなった。
人に何かを頼まれると絶対に断れない性格が災いし、練習時間そっちのけで先生や友達は勿論、知らない人が困っている人を見れば自ら手を伸ばしてしまったが為に簡単に追い抜かされた。
「おぃ修平!!この前の話どうなった!?」
今日も理事長に会議の資料の作成と配達を頼まれ、時間がないと全力で廊下を走っていると言うのに、速度を落として思わず立ち止まってしまった。
「悪い、まだ採決してない」
「何やってんだよ、イベント募集してたのは生徒会の方だろ!?」
いやいや、食事会と言う名の合コンなんて生徒会主催でできるはずがない。
なんて本音を言える訳でもなく、それなりに愛想よく話をしていると、
「修平!!何やってるの!?」
後ろから怒りのオーラを感じる頃には男子生徒の顔が一気に緩んだ。
「会議まであと1時間、こんな所で油を売ってる暇ありませんわよ」
声の主は生徒会副会長に就任した愛美。肩書きは『王妃』。この桜北学園中等部と言う城での権力者であり、立ち振舞いや、ありゆる場面で啖呵を切る愛美は絶対的権力者の王を支えているまさにその名が相応しい。
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