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僕の学校には、体育や音楽などの選択授業がある。
各々の能力を伸ばすためらしい。
けど僕は、苦手な体育を選んだ。
理由は、体力をつけなきゃって思ったのと、選択授業は諒のクラスと合同だと知って、運動が好きな諒が選ぶと思ったから。
「あっ、やっと来た。」
更衣室に着くと、悠真と修平くんが待っていてくれた。
「お待たせー。」
「・・・・何で、ニヤニヤしてるんだよ。」
諒に頭を小突かれた。
他の運動よりもやり易いプールが実は、少し好きだったりする。
そのせいで僕の頬が、自然と緩んでいたみたいだ。
「だって楽しみなんだもん。」
「そっか。良かったな。」
今度は頭を撫でられた。
「うんっ。早く行こ!!」
3人を急かし、プールサイドへ急いだ。
授業と言っても、割と自由時間が多い事が選択授業の良い所。
僕はビート板に掴まり、プカプカと浮いていた。
「はぁ~。気持ち良いなぁ。」
プールの時は前髪を上げている。
周りの反応が気になってしまうけれど、そうする事にした。
いつもより広い視界に、綺麗な青空が見えてすごくいい気分になれるから。
「ん?」
近くを誰かが泳いでいるなと思った瞬間、身体に何か触れた気がした。
キョロキョロと周りを見ても、特に変わった様子はない。
「気のせいかな?」
あまり気にし過ぎるのも僕の悪い癖だと言う自覚があったので、気にせずそのまま浮いていた。
だけど、その後も違和感は続き、頭の中がグルグルグルグル・・・・
「・・・・・・」
プールから上がった瞬間、目の前が真っ白に。
「へっ・・・・」
「渚っ!!」
薄れゆく意識の中で最後に聞こえたのは、いつになく必死に僕の名呼ぶ諒の声だった・・・・
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