6・僕と文化祭

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待ちに待った文化祭当日。 早めに学校へ来て、みんなで準備や最終チェックをして、衣装担当のクラスメイトが用意してくれたエプロンを着けたのだが・・・・ 「・・・・ねぇ、悠真?何でこんな格好なの?」 制服の白いシャツに黒のズボン。 それに、いつも家で使っているようなエプロンをすると思ってた。 ところが、シャツの上に黒いベストのような物を着せられて、首元のボタンを外された。 エプロンの色も黒で、腰に巻かれている。 極めつけに、前髪を上げられピンで止められた。 「何かおかしいよぉ・・・・やだ、こんな格好・・・・」 「じゃあ、僕のと交換する?」 「・・・・・・」 今の悠真は・・・・どこからどう見ても、女の子にしか見えなかった。 色だけ見たら、黒と白。 だけど、フワフワの短いスカートにヒラヒラのレース。 ヒールのある靴に、膝上までのくつ下。 頭の上にもレースが乗っている。 悠真は、メイドさんみたいな格好をしていた。 「ゴメンナサイ。」 「何で謝るの?」 「だって、僕がそんなの着たら犯罪だよ。」 「そんな事ないと思うけど・・・・」 そう言いながら首を傾げる悠真は本当に可愛い。 「悠・・・・、相沢。行くぞ。」 修平くんが僕たちを呼びに来た。 ちなみに、修平くんは僕と同じ格好だ。 背が高くて、かっこよくて、すごく似合っている。 けど、今は少し不機嫌な顔をしている気がする。 (何でだろ?) 「了解。渚くん、行こっ。」 「うん。」 お店を開ける前に、チラシを配ったり自分のクラスの出し物をアピールしたりする時間が作られている。 順位が着くので、そこも手は抜けないみたいなんだけど、僕たちがその係に選ばれてしまった。 僕たちは、みんなで作ったチラシを持って、30分間校内を歩き回った。 やっぱりヒソヒソされたけど、クラスのみんなが頑張って作ってくれた物。 僕は一生懸命配った。 準備をしていた時、色んな人が僕にも話し掛けてくれて、嬉しかったと言う思いがあったから。 どうにか全てを配り終え、10時には教室に戻る。 オープン30分前の教室は、いつもの教室と全く違い、本物のお店のようになっていた。
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