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「いらっしゃいませ~!!」
教室中にみんなの元気な声が響いている。
思っていた以上にお客さんが多くて大忙しだ。
「秋月くん。コレ、5番テーブルにお願い。」
「はぁい。了解です。」
悠真は、調理と接客両方をやっている。
すれ違う人みんな、悠真の方を振り返っていた。
(あれだけ可愛かったら見たくなるよなぁ・・・・)
そんな事を考えながら悠真を見ていたら、接客の方が忙しそうな事に気付いた。
調理の方は落ち着いていたので、僕もテーブルの片付けを手伝う事にした。
「あの・・・・」
せっせと片付けをしていると後ろから声を掛けられた。
お客さんから見たら僕は店員だから、声を掛けるのは当然で・・・・
無理矢理に笑顔を作り、返事をしながら振り返る。
「はい。どうされました?」
「あ・・・・ッ/// あの、写真・・・・良いですか?」
「へっ?」
目の前には、携帯を持った女の子が数人・・・・
意味が分からなくてオタオタしていると、2人の女の子が僕の両腕をガシッと掴んだ。
「やっ・・・・あの・・・・」
前では、数人の女の子がカメラを構えて待っている。
(どうしよ・・・・写真なんて・・・・)
どうしたら良いのか分からず目をつむってしまうと、フッと腕が軽くなった。
「ここは普通の喫茶店だからね、そう言う事されると困るんだ。やめてもらえるかな。」
悠真が女の子の腕を外してくれていて、修平くんが携帯を取り上げてくれていた。
「すみませんでした・・・・」
女の子たちは帰ってしまった。
「・・・・びっくりした・・・・何だったんだろ・・・・」
「まぁ、気にしない気にしない。そうだ、渚くん休憩だよ。」
「ん~・・・・諒が来るまで片付けしてるね。」
今日の僕の仕事は、お昼の忙しい時間が終わるまで。
その後は、諒と一緒に文化祭を見て回る約束をしていた。
「渚、いる?」
「りょ・・・・う・・・・」
「どうした?」
「えっと・・・・」
この前のお祭りの時も思ったんだけど、諒がすごくかっこ良く見える。
・・・・ちょっと違うかな。
かっこ良いのは分かってた。
分かっているのに、いつもと違う諒を見るとなぜかドキドキする。
今日の諒は、スーツを着て前髪を横に流して、何て言うか・・・・
「ホスト・・・・」
「・・・・・・」
悠真の言葉に少し考え込む。
「別に、やりたくてやってる訳じゃないから。」
(何かモヤモヤ・・・・)
「渚?」
「あっ、ごめん。行こっ。」
考えても分からない事は置いておいて、僕は文化祭を楽しむ事にしたのだった。
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