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僕は今、独り淋しくクレープを食べている。
校内を色々と回っていた時に、諒が女の子に連れていかれてしまったんだ。
僕から少し離れた所で話しをしている。
ここからじゃ、何を話しているのか聞こえないけど、すごく楽しそう。
諒は、話しに夢中になっている。
「・・・・・・」
クレープも食べ終わってしまい、少し考えた末、僕は諒にメールをして教室に戻る事にした。
あんな諒を見ていたくなかったから・・・・
× × ×
「あれ、渚くん?どうしたの?」
教室に戻ると、悠真が出迎えてくれた。
「ん~・・・・ちょっと・・・・」
「そっか。奥、誰もいないよ。」
悠真が何も聞かないでくれた事がすごく嬉しかった。
調理台の横に作られた小さな休憩スペース。
2つ並べられた椅子の上に横になった。
(どうしてこんな事に・・・・)
高校生活初めての文化祭。
最初は憂鬱だと思っていたけど、クラスのみんなに話し掛けてもらえる事が少しずつ増えていって、準備が楽しくなって・・・・。
今まで、学校行事の当日の朝は、いつも『行きたくない』って思ってた。
だけど、今朝初めて『行きたいな』って少し思えた。
そんな始まりの今日だったのに、諒がいないと言うだけでこんなに淋しくなるなんて・・・・
「ふぇっ・・・・」
淋しいと言う気持ちを自覚した途端、涙が溢れてきてしまった。
「渚くん!?」
僕の声に気付いた悠真が、駆け寄って来る。
「ぅ~・・・・ど・・・・しよ・・・・ック・・・・止まんな・・・・」
悠真は何も言わずに抱きしめてくれた。
「渚くん、今日はもう帰ろ。」
「でも・・・・」
「大丈夫。その代わり、明日は一緒に頑張ろうね。」
「・・・・うん。ありがと、悠真。」
修平くんが、渡辺先生を呼んできてくれて先生が車で家まで送ってくれた。
諒から何回も電話が掛かってきていたけれど、出れなかった。
そして翌朝、僕は諒を起こしに行く事が出来なかったんだ・・・・
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