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「お前さんは行かないのか?」
「ん~?何か疲れちゃって。」
「誰かさんと喧嘩でもしたか。」
「喧嘩・・・・」
先生の言葉に、更に気分が沈んでいった。
喧嘩は、相手がいなければ出来ない。
お互いがお互いを想い合っているからこそ喧嘩になるんだと思う。
だけど・・・・
「喧嘩なんかしてないよ。そんな事、出来る訳ないんだ。」
僕が一方的に・・・・
「そうか。まぁ、しばらくゆっくりしていけ。ワシは外すが、外出中の札を掛けておく。好きなだけいると良い。」
「うん。」
「それと、スペアキーだ。コレはお前さんに預けておく。鍵は閉めて行くから、帰る時はそれを使えば良い。」
「・・・・ありがと、センセ。」
「うむ。」
先生の後ろ姿を見送り、鍵の掛かる音を聞いてから、ゴロンとベッドに転がる。
「あっ・・・・衣装、シワになったらダメかな・・・・」
片付けをしてすぐに来てしまったので、ヒラヒラのままだった。
「まぁいっか。それにしてもなぁ・・・・。悠真も先生も甘やかし過ぎなんだよ・・・・」
僕の事を大切にしてくれている。
母さんと同じ雰囲気がある。
諒は・・・・
考えようとしたけれど、僕は考えることを放棄して目を閉じた。
それでも、やっぱり頭の中は諒の事でいっぱいになってしまい、諒の事を想いながら眠りに落ちていった。
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