1・僕と朝

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「うわっ!!」 色々と考えながら歩いていたら、段差に気付けなくて躓いてしまった。 (転ぶっ!?) 僕は思わず目をつむった。 でも、身体に受けた衝撃は硬いものではなく柔らかいもの。 「・・・・あれっ?」 そっと目を開けると、諒に抱き留められていた。 「相変わらずだなぁ。」 「あっ、ありがと。」 「・・・・・・」 「・・・・そろそろ離してくれないかな?」 諒が離れてくれない。 諒も相変わらずだなって言いたくなる。 「おはよう、渚くん、諒くん。相変わらずラブラブだね。」 そう言いながら、ニッコリと笑顔を浮かべて歩いて来るのは、僕の数少ない友達の秋月悠真。 「悠真・・・・。」 「おはよう、秋月。お前なら分かってくれると思ったよ。」 「諒も。訳の分からないこと言ってないで、さっさと離れる。」 さっきから、周囲の視線がかなり痛い。 「(分かってないのはコイツだけだな)」 「(渚くんは、かなり鈍感だからね)」 「そこ、無言で会話しないの。」 この2人、最初はすごく仲が悪かった。 と言うよりも、諒が一方的に悠真を嫌っていたような感じだった。 (でも、いつの間にか仲良くなってたんだよな・・・・) 「じゃあ、俺行くな。秋月、頼んだぞ。」 「うん、分かったよ。」 「だからさ、何でも悠真に頼むのかな?」 「いい子にしとけって事。」 前髪を上げられて、諒を見上げると額にキスされる。 「学校ではしないでよぉ。」 恥ずかし過ぎる。 「気にするな。じゃあな。」 諒とはクラスが違うので、下駄箱の所で別れる。 「相変わらず過保護だね、諒くんは。」 「・・・・・・」 学校ではされていなかったスキンシップだけど、ここ最近かなり増えた気がする。 「諒くん、報われないなぁ。」 「悠真?」 「何でもないよ。教室行こう。」 小さく呟いた悠真の声は、僕の耳には聞こえなかった。
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