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僕は、教室へ入るこの瞬間がすごく嫌いだ。
この高校に入学してから3ヶ月。
中学から合わせると、3年と3ヶ月。
未だに慣れる事が出来ない。
「渚くん、大丈夫?」
「あっ、ごめん。今開けるね。」
こうして悠真に心配を掛けてしまうのもいつもの事になっている。
(・・・・これだけは早くどうにかしなきゃ)
僕が教室のドアを開けると、それまでの喧騒が嘘のように静かになる。
もちろん、自意識過剰だって事はよく分かってる。
ただ、心に刻まれたトラウマと言う物はなかなか拭えず・・・・
今日は、久しぶりに昔の事を思い出していたせいでいつもより敏感になってしまって、カタカタと身体が震えてしまう。
「悠、相沢。おはよう。」
そんな僕を温かいものが包んでくれた。
「あっ、修ちゃん。おはよう。」
「修平くん。おはよう。」
「2人とも、相変わらず小さいなぁ。」
そう言いながら、僕と悠真を後ろから抱えるようにしているのは石神修平くん。
悠真の中学時代からの親友で、悠真と仲良くなった僕とも友達になってくれた。
「渚くんは小さいけど、僕は小さくないでしょ。」
「・・・・修平くん、重い・・・・」
修平くんは、諒よりも大きくて185センチって言っていた。
「おぉ、悪いな。ほら、席行くぞー。」
「うん。」
「はぁい。」
この2人が僕の友達。
他に話せるのは、同じ図書委員の先輩ぐらいだ。
クラスメイトですら、用事がなければ話し掛けてくる事はないから・・・・
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