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「や…だよ」
目から零れ落ちる涙。
顔がぐしゃぐしゃになることも
近くに医者や看護婦がいることも気にしないで
私はただ泣き叫んだ。
「ぃやだよ…
お母さん」
私の目の前には…病院のベッドで静かに眠るお母さん。
私の声に気づいたのか、お母さんは静かに目をあけた。
そして、ゆっくりと視線を私の方に向ける。
苦しそうに、荒い呼吸をしながら
でも、その目はしっかりと私をとらえていた。
「えみ、ご…めん」
喋るのなんて辛いはずなのに、お母さんは懸命に口を動かす。
「リビングの棚…ッ上から2番目の引き出し…」
苦しそうに呼吸を乱しながら、必死に何かを伝えようとする。
リビングの棚の、2段目の引き出し。
そこに、お母さんは大事な物をよく入れていた。
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