始まり

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暗い部屋に灯る小さな電球の光が、手紙を照らす。 丁寧にきっちりと書かれた字。 時折滲んでいるその跡は、きっとお母さんの涙の跡だろう。 ーポツン 新たにできた涙の跡。 それは私の目から溢れ落ちた物で 電球に当たってキラキラと光っていた。 そういえば。 お母さんが死ぬ直前、私に言っていた。 “えみ、ごめん” その言葉はきっと、今まで黙っていてごめんということだろう。
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