始まり

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―――えみにお願いがあります。お父さんとひかるに届けて欲しい物があるの。引き出しに、もう一枚封筒が入っているでしょう?その手紙を二人に届けて欲しいの。 手紙を読み進めると、そう書いてあった。 よく見ると、引き出しにもう一枚封筒が入っている。 このことだ…。 私はゴクリと唾を飲む。 “よろし…く” 死ぬ間際、お母さんが私に残した言葉。 でも、手紙にはお父さんとひかるの居場所は書いていなくて どこにいるのか何をしているのかも分からない。 そんな二人に、お母さんからの手紙を届けることができるのだろうか。 二人を見つけだす自信も何もないけれど。 だけど… お母さんの最後の願い…、叶えてみせる。 「ちゃんと、届けるから」 私は涙を手で拭いながらそう言った。 きっと、その言葉がお母さんにも届いてると信じて。
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