猫の家

4/13
前へ
/13ページ
次へ
青年は、アトリエのドアを開けた。 本来なら渡り廊下で洋館と繋がっているが、青年はその廊下を塞いでいた。 以前に一度、付き合っていた女性をアトリエに招いたところ、勝手に洋館に入られてひどく不愉快な思いをした。 それ以来、他人をアトリエに入れても、自宅である洋館には入れないようにした。 「待たせたね、アユミ。」 アトリエに入ると、青年は作りかけの塑像の方を向いて、ソファーに腰かけている女性に話しかけた。 「準備ができたよ。迎えに来たんだ。」 青年は、コートのまま女性の隣に座った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

204人が本棚に入れています
本棚に追加