猫の家

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アトリエの裏の林の奥に分け入ると、青年は目印を見つけて足を止めた。 「ここだよ。少し寂しい場所だけど大丈夫。みんな、翌日には僕のところへ来てくれたから、君もそうなる。楽しみだなぁ。君はどんな風に僕の前に現れるだろう。もう一度新しい出会いを味わえるなんて、素敵だと思わないかい?」 青年は、彼女をそっと降ろしてその体を彼女のために作り上げた『寝所』という名の穴に横たえた。 その時に髪が広がり、首に食い込むほど巻き付けた紐があらわになった。 目から、鼻から、口から、股間から滴る体液も、青年の脳には認識されていなかった。 「それじゃあ明日会おうね。おやすみ。」 青年は、スコップで土をかけた。 完全に埋まってしまうまで何度も何度も何度も。 その回りには、不自然に盛り上がった地面が12ヵ所あった。 .
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