猫の家

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土をかけ終わると、青年は鼻歌まじりに洋館へ向かった。 気分がよかった。 両親が亡くなった翌日、洋館の前に2匹の猫が姿を見せた。 猫は、飼い猫だった過去があるのか、青年にすり寄り甘い声で鳴いた。 その声が、優しく名を呼ぶ母親の声に聴こえて。 甘えて前足をかけてくる仕草が、青年を穏やかに励ます父親の手に見えて。 ああ、帰ってきたんだね お父さん。お母さん。 僕、いい子にしてたよ。 青年の精神は、その時いびつに歪んだ。 .
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