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ーーとある一軒家ーー
「……だからそういうのやだっての」
ん~……。
朝から騒々しいな。
「ふぁ~……。
どうかしたのか?
大きな声出して……」
眠い目を擦りながら俺は玄関へと向かった。
「あ、わりぃ。
起こしちまったな。
いや、今訪問販売を断っていたとこさ」
大きな声をだしていたのは迫田 勇一郎(さこた ゆういちろう)。
俺、信川 誠司(しんかわ せいじ)の親友兼同居人。
「訪問販売?」
野郎二人暮らしでは聞き慣れない言葉に俺は首を傾げた。
「やや!
もう一人いらしたんですね!
これをみたまえ少年!」
な・ん・か・で・た!
何だこのニヤついたおっさんは!
そしておっさんはやたらでかい真っ赤なスーツケースから、怪しげなショッキングピンクの箱を取り出した。
「『レンタル忍術』?
胡散臭い……」
箱に書かれた商品名怪しい。
出し抜けに全くいい迷惑だ。
「まぁ、簡単にいえば『忍者を体験してみないか?』みたいな~?」
おっさんはニヤニヤしながら言う。
ぺいっ。
躊躇する事なく俺は箱とおっさんを外にだした。
「ちょっ!
何するんですか!
とにかくサンプル置いてるんで考えて下さいね~」
そう言い残しおっさんが去っていくのがわかった。
「サンプル?
げっ、いつの間に……」
なぜかちょこんと当たり前のような先程の箱がある。
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