【第1回地区予選】

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ーーとある一軒家ーー 「……だからそういうのやだっての」 ん~……。 朝から騒々しいな。 「ふぁ~……。 どうかしたのか? 大きな声出して……」 眠い目を擦りながら俺は玄関へと向かった。 「あ、わりぃ。 起こしちまったな。 いや、今訪問販売を断っていたとこさ」 大きな声をだしていたのは迫田 勇一郎(さこた ゆういちろう)。 俺、信川 誠司(しんかわ せいじ)の親友兼同居人。 「訪問販売?」 野郎二人暮らしでは聞き慣れない言葉に俺は首を傾げた。 「やや! もう一人いらしたんですね! これをみたまえ少年!」 な・ん・か・で・た! 何だこのニヤついたおっさんは! そしておっさんはやたらでかい真っ赤なスーツケースから、怪しげなショッキングピンクの箱を取り出した。 「『レンタル忍術』? 胡散臭い……」 箱に書かれた商品名怪しい。 出し抜けに全くいい迷惑だ。 「まぁ、簡単にいえば『忍者を体験してみないか?』みたいな~?」 おっさんはニヤニヤしながら言う。 ぺいっ。 躊躇する事なく俺は箱とおっさんを外にだした。 「ちょっ! 何するんですか! とにかくサンプル置いてるんで考えて下さいね~」 そう言い残しおっさんが去っていくのがわかった。 「サンプル? げっ、いつの間に……」 なぜかちょこんと当たり前のような先程の箱がある。
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