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Episode 2 『太陽の王』
西暦2148年
地球を眼下に周回軌道上を漂う空間監視衛星“シルバニア”が,まっすぐに地球軌道を目指し接近している小惑星を発見した。
シルバニアと小惑星の相対距離は227933580Km。
推測速度から予想されたモラトリアムは約2年半。
それは遠く木星圏に存在する,直径約80kmの小惑星“ユリシーズ”の一部であることが,軌道と速度計算からあきらかになったことから,接近中のそれを“ユリシーズⅡ”と名付けた。
ユリシーズⅡ発見から半年,NASAは21世紀に廃棄された7機の気象観測衛星を再び起動し,立て続けに小惑星へ向け発進させた。
そう,ユリシーズⅡに人工衛星を衝突させて破壊,もしくは軌道をずらすという奇策に願いを込めたのだ。
むしろ,人類にはそれ以外に選択肢はなかったと言っても過言ではない。
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