1人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「そう,,,。なら安心だわ。」
彼女はふっと微笑みながらそう呟くと,荷物が満載になったホバートラックに乗り込んだ。
彼もまた,リリィが落とした拳銃を拾い,グリップを向けるように運転席の窓にそっと差し出す。
───次に会ったときは手加減はしない。
───望むところね。
女だからって手を抜いたら,問答無用で撃つから。
アレックスが差し出した拳銃を受け取り,僅かに手と手が触れたそのとき,暖かくも緊張感のある,長いようで短い時が流れた。
耳鳴りに似た感覚とともにまわりの音が消えゆき,互いの意志が共鳴するのが手に取るように理解できた。
そう,それは父の死の瞬間を垣間見たあの日に似た感覚。
言葉無くして意志を疎通する,そんな感覚に思わず彼女の顔から笑みがこぼれ,釣られた彼も遅れて微笑んだ。
じゃあと別れた二人が再び出会う日はそう遠くないだろう。
彼女の研ぎ澄まされた感覚がそう訴えている。
───To be Continued,,,
最初のコメントを投稿しよう!