Lily's memory

Episode 2 『太陽の王』

ﾘﾘｨは買い出しから戻るとすぐに機体の元へ向かった。

様子のおかしい彼女を心配したﾊｲﾄﾞﾘｯﾋが様子を見に行くと,どうやら彼女は愛機の再ｾｯﾃｨﾝｸﾞを行っているようであった。

StrikerｰType2,通称Sｰ2が彼女の愛機だ。

彼女の父ﾙｲｽのSｰ1と基本構造は変わらないが,Sｰ2には脳波感知ｼｽﾃﾑやｲﾝﾃﾝｼｮﾝﾓｰﾄﾞというものが組み込まれている。

脳波感知ｼｽﾃﾑとは,専用のﾍﾙﾒｯﾄに仕込まれた脳波感知電極で感知した脳波が直接駆動系に送り込まれる,つまり考えただけで機体が動かせるというもの。

だが,このｼｽﾃﾑは集中力が高い状態でなければほとんど脳波を感知できず,緊急回避運動やｱｰﾑﾚｲｶｰでのﾏﾆﾋﾟｭﾚｰﾀのﾏﾆｭｱﾙ操作などの際に発動することがほとんどである。

補足だが,脳波のみで機体を動かし続ける事は想像以上のﾀﾞﾒｰｼﾞを精神面に与えるため,断続的に行っても5分で接続が遮断されるようﾘﾐｯﾀｰが設けられている。

そしてｲﾝﾃﾝｼｮﾝﾓｰﾄﾞは,ﾊﾟｲﾛｯﾄが緊急事態に反応しきれなかった場合や,機体の駆動系統などにﾄﾗﾌﾞﾙが起こった際に,機体管制CPUが自動的に最善の行動を割り出し,実行するというもので,機体管制CPUの学習が進めば進むほどに行動のﾊﾞﾘｴｰｼｮﾝは増える。

このようなｼｽﾃﾑが搭載された事で誰が搭乗してもﾍﾞﾃﾗﾝのﾊﾟｲﾛｯﾄや,高性能機と最低でも互角の戦闘をすることができるようになった。