Episode 2 『太陽の王』

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しかし彼女のSー2はCPUの学習が未熟であったため,現状よりも行動バリエーションを増やすためにパイロットであるリリィ自身がシミュレータ上で何パターンも行動を覚えさせなくてはならなかった。 全高20m近い大きさのVHASが人間と同じ行動をした際の加減速Gは凄まじい威力になるため,CPUが記憶している情報を定期的にチェックし,より良い操縦環境を作り出すこともVHASパイロットの重要な仕事のひとつだということは述べておきたい。 無論,インテンションモードのようにCPUが自動的に判断し,行動したり,操縦を補正することも可能だが,その場合“最大加減速5G以下,コックピット位置変化17m/s以内”という制限が発生する。 つまり静止状態から急激に動いたとき,瞬間的に発生するGが5G以下になるように,そして機体のほぼ中央に位置するコックピットが一秒で17m以上動かないように機体制御が行われる。 任意で選択した行動であれば,その制限を上回る,事実上解除を行うこともできるが,並の人間には耐えられないという。
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