1人が本棚に入れています
本棚に追加
「まぁ構わないが,アドラーとバルディッシュじゃ性能も機能も違うから,,,参考にはならないんじゃないか?」
ふっと苦笑を浮かべながら,アレックスはセンターコンソールモニターの向きをぐるりとアルフの方へ向けた。
「たしかに,アドラーは高性能ですが常用性能はバルディッシュの限界性能とほとんど変わらないことが分かったんです。」
そう言いながら熱心にメモをとるアルフは,新しいおもちゃを前にした子供のような目をしていた。
「バルディッシュが本来持つ性能の全てを引き出してやれれば,現行モデルのVHASにだって引けはとりませんよ。」
「なるほどな,その点 私は少し機体性能に頼りすぎる部分があるのかもしれんな。」
「まぁ,それだけマージンは必要っていうことなんでしょう。
常に全開でいくより,8割くらいで動いていた方が,いざってときに性能の有り難みも分かると思います」
そんなもんか?という顔をするアレックスをよそに,アルフは続けた。
「ただ,僕はひとつを極める方が好きですね。」
「自分の命を預けるものだからな。」
「えぇ,それに長く命を預けてきたものなので。」
そういうと二人は自然とバルディッシュに目を向けた。
オレンジ色に輝くその機体は,アルフと歩んできた過去を誇り高そうに,最新鋭機のなかで堂々と佇んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!