Episode 2 『太陽の王』

7/54
前へ
/80ページ
次へ
「あれ?リリィは?」 ぐるりと並ぶトレーラーハウスの中心に位置するパブリックスペースでコーヒーを飲みながら文庫本を読んでいたハイドリッヒに声をかけたのは,チーム最年少のエイブルだ。 「ん?あぁ,彼女ならSー2のセッティングをしていたよ。 あまりにも熱心だったから声をかけずにおいたんだ。」 「ふ~ん。」 エイブルとリリィは幼なじみだ。 リリィとは6つ違いの17歳。 彼はリリィを姉のように慕い,彼女はエイブルを弟のように可愛がっていた。 16年前,紛争孤児であった当時1歳のエイブルは,たまたま通りかかったルイスチームに保護された。 ルイスの死をもってチームは一時解散に追い込まれるものの,5年前にハイドリッヒを筆頭にチームが再び立ち上がると,当時のメンバーを含めた構成員が集まり,機動性,火力,耐久性の面でバランスのとれたS系VHASを主力に活動を再開した。 エイブルもリリィも,その頃から所属している初期メンバーであった。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加