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「あれ?リリィは?」
ぐるりと並ぶトレーラーハウスの中心に位置するパブリックスペースでコーヒーを飲みながら文庫本を読んでいたハイドリッヒに声をかけたのは,チーム最年少のエイブルだ。
「ん?あぁ,彼女ならSー2のセッティングをしていたよ。
あまりにも熱心だったから声をかけずにおいたんだ。」
「ふ~ん。」
エイブルとリリィは幼なじみだ。
リリィとは6つ違いの17歳。
彼はリリィを姉のように慕い,彼女はエイブルを弟のように可愛がっていた。
16年前,紛争孤児であった当時1歳のエイブルは,たまたま通りかかったルイスチームに保護された。
ルイスの死をもってチームは一時解散に追い込まれるものの,5年前にハイドリッヒを筆頭にチームが再び立ち上がると,当時のメンバーを含めた構成員が集まり,機動性,火力,耐久性の面でバランスのとれたS系VHASを主力に活動を再開した。
エイブルもリリィも,その頃から所属している初期メンバーであった。
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