Episode 2 『太陽の王』

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「なぁハイドリッヒ」 「ん?」 ハイドリッヒの正面のソファに腰掛けるなり,エイブルは神妙な面持ちで話しかけた。 「そろそろ俺にも専用機をくれよ。」 「う~ん,,,」 ハイドリッヒはぱたんと読んでいた本に栞を挟んで閉じ,眼鏡を外してうなだれた。 その顔は,またその話題かと言いたげな表情で,コーヒーを一口 口に含みながら深く考え込んだ。 「よし,いいだろう。」 「本当に!?」 「あぁ。ただし,明後日行われるレクサー社の新型試験のテストパイロットを経て判断する。問題は?」 「ない!」 今まで予備機を使った模擬戦くらいでしか操縦経験が無かったエイブルにとって,専用機を持てるかもしれないという事はとても嬉しいことだったのだろう。 エイブルはそのまま格納庫の方へスキップをしながら走って行った。 「ふぅ,,,。下手な事を言うとリリィにどやされかねん。」 エイブルの背を見つめ苦笑気味に呟くと,ハイドリッヒは再び本を開き,視線を落とした。
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