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「もぅ・・・どこ行ったんだろ?」
小さな公園のベンチに座り、ハァと大きくた め息をついている女性───ハンナは一枚の写真をポケットから取り出した。
そこに写っているハンナの一人娘───マヤは5日前から行方不明なのだ。
警察にも捜索願を出したが一向に見つからな く、途方に暮れていた。 もしかしたら最悪の場合も・・・とハンナは考え始めていた。
「あの・・・何かお悩みですか?」
「え?」
写真から目を離し顔を上げてみると、そこにいたのは全身真っ黒のマントに身を包んでいる怪しい人がいた。
顔はフードで隠されていて見えないが、声色からして多分男性だろう。
「私、案内係をしております」
「案内係、ですか?」
「はい。よろず屋“リーブル”の案内係で御座います。あなた様がお悩みを持っておられるように見えたのでお声をお掛け致しました」
よろず屋“リーブル”
聞いたことない名前だった。
信憑性も何もない。
でも、今は何かに縋りたかった。
可能性があるならどんな事にでも・・・
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