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―…「はぁ!はぁ!はぁ!」
柾は走っていた。
顔や腕から汗をかきながら、必死に走っていた。
「あ~~…。なんだよも~。学校近くなってきたってのに、生徒が全然いねぇじゃん!」
そして、やっと校門が見えてきた。
「おお!居るじゃん、生徒らしき人!」
遠くから見える校門の前には、3人ほどの、同じ高校の制服を着た人が立っている。
「あれ、何であの人たち学校入らないんだ?」
ひとりで呟きながら、徐々に速度を落としていった。
ザッザッザッ……ザ
そして遂に、柾は校門にたどり着く。
ふわぁっ…
春風が吹いた。
校門を越えた、学校の敷地内に生えている数本の桜の木から、花びらが一斉に飛び散る。
「ぁ……」
小さな声が、何かにきづいた。
桜の花びらと一緒に、薄い茶色の長い髪が、ハラハラと揺れる。
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