第一話 お近づきになりたいのだが

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 「~~~~~っっっ!!」    不意を突かれまくった俺は大口を開けて叫…ぶことは出来なかった。それはもちろん、目の前に女の子が居たから。むしろ、息さえ吐いていいのかどうか分からなくなる。  薄れていた顔の赤みが、その色を取り戻していくのを感じる。  そう、その子が俺のネクタイを締めるのを手伝い始めたのだ。驚き桃の木山椒の木。  「中学生のときはネクタイなんて締めないから、最初はわかんないよね~」  微笑みながらスルスルとネクタイをキレイに締めていく。  少し上から、俺は女の子の顔を覗いてみた。  (ち、近い…!てかぁ、ホント可愛いな、この子。顔は小さいのに目は大きい、肌が白いから、薄いピンク色の唇が際立って……)  「私、」  「のぁ! あ、はぃ」  「福寄高校2年で、副風紀委員長してる、足立楓希(アダチフウキ)っていうの。よろしくね~。……と、はい、できた!」
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