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若干息を切らしているその子を見て最初に目に入ったのは、長い、橙色に近い髪の毛を後頭部の高い位置で結っているポニーテールだった。
結われた髪が横に大きく揺れた。
「アンタ今、ふうちゃんにネクタイ締めてもらわれてたでしょ!」
両手を自分の腰に当てて俺を睨み付けてきた。
「え、いやぁ、あの、俺、は……」
「問答無用っ!こんの不良がぁぁぁぁぁ!!」
(また遮られたっっ!)
その子は言い放ちながらその場で急に回ったかと思うと、
ぐわぁっ!
彼女の右足による後ろ回し蹴りが繰り出されてきたっ!
ドシィッ!!……バタン…
脇に抱えていた鞄が落ちた。
「ちょっエミちゃん!いきなりはダメだって言ったでしょー!」
すでに自分の顔を両手で覆い隠しながら、エミちゃんと呼ぶポニーテールの女の子(以下、エミちゃん(仮名))に呼びかけた。
楓希さんは、おそるおそるその手を下に下げ、目の前の光景を目にした瞬間、ポカンと口を開けて、一瞬停止した。
「うわっ…」
いきなり蹴り込まれた足を、俺は鞄を抱えていた方の右腕で咄嗟にガードしていた。
「んなっ!」
受け止められた自分の脚と、俺の顔を見て驚くエミちゃん。
バッ!
エミちゃんとやらは足を引いて構え直した。
「…アタシの不意打ち回し蹴りを止めるとは…アンタ、ただの不良じゃないみたいね!」
またキッと睨み付けられた。
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