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いやいや、それほどでも…。
「いや…ええっ!!俺が不良!?」
一瞬褒められたかと思ったがそうじゃない。なんという女子!出会い頭に後ろ回し蹴りを繰り出しておいて、今度はいきなりの不良呼ばわりとはっ!
驚いて一歩下がる俺。
「そうよ!最近急に増えだしちゃって!不良の分際でウチのふうちゃんにネクタイを結んでもらおうなんてね……!」
「ちょ、ちょっと待って!」
俺はエミちゃんの言葉を遮って、校門正面の校舎の壁に設置されているアナログ時計に目をやった。
(もう8時40分!?マズイ!)
集合時間は確か8時45分だったはず、もう時間がなかった。
掲示板に張り出されているであろう、自分のクラスを確認してから教室に向かわなければならなかったからだ。
「す、すいませんけど俺もう行きます!じゃ!!」
解放されるまで時間がかかると直感的に判断した俺は一方的に断りを入れるとそのまま駆け出した。登校初日から遅刻なんてごめんだ!
「あっ!ちょちょっと待ちなさいよ!!」
エミちゃんが怒鳴るのも顧みずに俺は校舎に向かった。
「ふうちゃんに手ぇだしたら許さないからなーー!」
最後のエミちゃんの叫びが静かな校舎に向かって反響しているのが後方から聞こえていた。
***
「…あ!」
ふと、楓希は何かに気づいたようだ。
「ハッ!どしたのふうちゃん!もしかしてあの不良に何かされたの!?」
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