第一話 お近づきになりたいのだが

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 「……。はぁ、足立先輩。いや、ふ、楓希さん、と、呼ぶべき…か?」  一人で、誰もいない校門前で、誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。  キーンコーンカーンコーン…  「あ」  その男は自分の腕時計を見た。  8:45  とデジタルで表示されている。  「む…しまった…」  さらに一言呟くと、特に焦った様子もなく、ゆっくりと校舎の入口へと歩いて行った。  今のチャイムはもちろん、集合時間の合図のはずだが…―
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