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―…「そんじゃあ、次はお待ちかねの始業式なんで、えー…あの、あれだ!あそこに集合な」
廊下にズラーと並ぶ教室の内のひとつの教室で、ひとりの男性教師が、明らかにダルそうに言った。
続いて教室がざわつきだした。
ざわつきだしたと言っても、おおっぴらに隣の人と話しているわけじゃない。
新しい学校で、新しいクラスで、周りが知ってる友達だけではない状況じゃ、各々の不安を話すことができないで、周りを見回してソワソワしているだけだ。
多分、全員が不安がって教師の方を見ていたのだろう、
「…。あー、すまんすまん。入学式のときに使った体育館だ。とりあえず、チャイム鳴ったら教室出て体育館に移動な」
と、言い直して、出席簿らしい黒い表紙の冊子と、ホームルームの最初に配ったプリントの余りを手に取った。
そして、教室を出ようと入口に向かって歩きだしたときだった。
何かに気づいて歩を止めた。
「あー…そこのお前!」
指を指した方にいる数人の生徒からは返事はない。
「お前だよお前!そこのー…。あーもう名前まだわからんからいいわっ。とにかく、あんまボケんなよ。んじゃ」
そう言って頭を少し掻くと教室を出て行った。
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