第一話 お近づきになりたいのだが

16/63
前へ
/133ページ
次へ
 キーンコーンカーンコーン…  と、そこでチャイムが鳴った。  「あ、チャイム鳴ったなぁ」  拓馬が呟いた。  「まぁよ!お前の初恋相手っての、見るの楽しみにしてるよ。あと、回し蹴り少女もなぁ」  ニヒヒと笑って俺の背中を叩いた。  「お、おう…」  「みんな移動始めたし、俺達もとっとと行こうぜ!」  俺達は席を立つと、次々と教室を出ていく生徒たちに続いて歩き始めた。  「でよぉ、その子ってどんな子なのよ?」  「ぅえ!え、ぇと…。そ、そうだなぁ。髪は肩甲骨辺りまでの長めの茶色よりで、毛先はちょっとカールしてて、背は結構低くて、肌も白くて、目が大きくて、それに…」  「えらく具体的に言うなぁ、それに?」  「ホントに可愛いんだよ!」  「ほぉ~、まぁ、可愛い子は超好きだけどなぁ!早く見たい…ぜ……おいアレ」  歩きながら、拓馬は途中で止まり、前方を指指した。  それに連れられて俺も前を見る。 ふわぁっ… 「ぁ」
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加